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歯周組織再生療法で歯はどれくらい残せる?長期予後と歯の喪失率
歯周病が進行して歯を支える骨が失われると、「この歯は残すことが難しい」と診断されることがあります。
しかし、骨の失われ方や歯の状態によっては、歯周組織再生療法によって歯を残せる可能性があります。
患者さんにとって大切なのは、レントゲン写真で骨が増えて見えることだけではありません。本当の目的は、治療した歯をできるだけ長く、安定した状態で使い続けることです。
今回は、歯周組織再生療法を受けた歯の中期・長期予後について、2022年に発表されたStavropoulosらのレビューをもとにご紹介します。
歯周組織再生療法とは
歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨や歯根膜などの歯周組織が破壊されます。
歯周組織再生療法は、歯肉を開いて歯石や炎症性組織などを取り除いたうえで、エナメルマトリックスデリバティブ、骨補填材、メンブレンなどを用い、失われた歯周組織の再生を促す治療です。
ただし、すべての歯に行えるわけではありません。骨欠損の形、歯の動揺、歯根の状態、清掃状態、喫煙、全身状態などを調べ、適応を判断します。
中期」「長期」とは何年間なのか
Stavropoulosらが基礎とした2021年のシステマティックレビューでは、治療後の経過期間を次のように分類しています。
| 分類 | 治療後の経過期間 |
|---|---|
| 中期 | 3~5年 |
| 長期 | 5~20年 |
対象となったのは、治療後3年以上経過した30件の無作為化比較試験です。歯周組織再生・再建療法と、再生材料を使用しない通常のフラップ手術(オープンフラップデブライドメント:OFD)が比較されました。
治療後3~20年で、歯の喪失率に差がみられた
研究をまとめた結果、歯の喪失率は次のとおりでした。
| 治療方法 | 歯の喪失率 |
| 歯周組織再生・再建療法 | 0.4% |
| 通常のフラップ手術(OFD) | 2.8% |
再生療法を行った歯では、通常のフラップ手術のみを行った歯よりも、歯の喪失が少ない結果でした。また、再生療法では、治療後に残る歯周ポケットが浅く、失われた付着の回復量も大きい傾向が示されています。
これは、歯周組織再生療法が単に短期間の検査値を改善するだけではなく、中期から長期にわたって歯を残すことにつながる可能性を示す結果です。
ただし、歯の喪失を評価できた研究数は限られており、著者らもエビデンスは十分ではないとしています。「再生療法を行えば喪失率が必ず0.4%になる」「すべての歯を残せる」という意味ではありません。
20年間追跡した研究でも、再生療法の長期的な利点が示された
このレビューには、深い垂直性骨欠損を20年間追跡した研究も含まれています。
その研究では、20年間で失われた歯は、再生療法を行った2群では0本、フラップ手術単独群では2本でした。病気の再発や再治療も、フラップ手術単独群で多く認められました。
一方、この研究は45名・45本を対象とした比較的小規模な研究です。また、分岐部病変のない骨内欠損が対象で、治療後は原則として3か月ごとの専門的なメインテナンスが20年間継続されています。
良好な結果を維持するには、手術だけではなく、患者さんによる毎日のセルフケアと定期的なメインテナンスが欠かせません。
再生療法は「良い材料を入れるだけ」の治療ではありません
歯周組織再生療法では、エムドゲインなどのエナメルマトリックスデリバティブ、骨補填材、メンブレンなどが使用されます。
これらの再生材料には、それぞれ重要な役割があります。複数の材料を組み合わせる方法が、単独で使用する方法より有効である可能性も報告されています。
しかし、材料を入れるだけで、自動的に歯周組織が再生するわけではありません。
再生材料が働くためには、まず次のような治癒しやすい環境を整える必要があります。
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歯周病の原因となるプラークや歯石を除去する
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歯根面に付着した感染性の沈着物を取り除く
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骨欠損内の炎症性組織を除去する
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血餅と創部を安定させる
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治療後も清掃状態とメインテナンスを維持する
この感染源や炎症性組織を取り除く工程を、デブライドメントといいます
歯周組織再生療法の土台となる「デブライドメントの質」
歯周病によって骨が深く失われた場所には、器具が届きにくい部分や、肉眼では確認しにくい歯根面があります。歯根のくぼみや深く狭い骨欠損では、手指の感覚だけで付着物が除去できたかを判断することが難しい場合があります。
当院では、必要に応じて歯科用顕微鏡で術野を拡大し、歯根面を直接確認しながらデブライドメントを行います。
大切なのは、単に長時間処置を行うことではありません。除去すべきものを見分け、必要な範囲をできるだけ確実に処置し、再生材料が働きやすい環境を整えることです。


材料の前に、再生できる環境を整える
歯周組織再生療法において、どの材料を選ぶかは重要です。
しかし、その効果を引き出すためには、感染源の除去、術野の確保、組織を傷つけにくい操作、創部の安定、そして治療後のメインテナンスが欠かせません。
生材料を入れる前に、歯根面と骨欠損をどこまで適切に整えられているか。
これが、歯周組織再生療法の結果を支える重要な土台の一つだと当院では考えています。
次回は、歯周治療におけるデブライドメントについて、手指の感覚だけで汚れを取ることの限界と、歯科用顕微鏡で確認する意義を、実際の写真を交えて詳しくご紹介します。
大牟田市で歯周組織再生療法をご検討の方へ
歯周組織再生療法が適応できるかどうかは、歯周組織検査やレントゲン写真、必要に応じてCT検査などを行い、総合的に判断します。
重度の歯周病でも、骨欠損の形や残っている歯周組織の状態によっては、歯を残せる可能性があります。一方で、歯根破折、重度の分岐部病変、清掃状態、喫煙、全身状態などにより、再生療法が適さない場合もあります。
大牟田市、みやま市、柳川市、荒尾市周辺で「抜歯と言われたが、歯を残せる可能性を確認したい」という方は、川口歯科医院へご相談ください。
参考文献
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Stavropoulos A, Bertl K, Sculean A, Kantarci A. Regenerative Periodontal Therapy in Intrabony Defects and Long-Term Tooth Prognosis. Dent Clin North Am. 2022;66(1):103-109. doi:10.1016/j.cden.2021.09.002.
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Stavropoulos A, Bertl K, Spineli LM, Sculean A, Cortellini P, Tonetti M. Medium- and long-term clinical benefits of periodontal regenerative/reconstructive procedures in intrabony defects: systematic review and network meta-analysis of randomized controlled clinical studies. J Clin Periodontol. 2021;48(3):410-430. doi:10.1111/jcpe.13409.
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Cortellini P, Buti J, Pini Prato G, Tonetti MS. Periodontal regeneration compared with access flap surgery in human intra-bony defects: 20-year follow-up of a randomized clinical trial. J Clin Periodontol. 2017;44(1):58-66. doi:10.1111/jcpe.12638.
治療上の注意事項
※治療結果には個人差があり、すべての症例で歯周組織の再生や歯の保存を保証するものではありません。
※適応は、骨欠損の形態、歯の動揺、清掃状態、喫煙、全身状態、残存歯質などによって異なります。
※外科処置には、術後の痛み・腫れ・出血・感染、歯肉退縮、知覚過敏、隣接組織の損傷などのリスクがあります。
※治療期間・治療回数・費用は、歯の状態や必要な処置によって異なります。診査・診断後に個別にご説明します。
※治療費用は、材料費や物価などを考慮し、将来変更する場合があります。
※症例写真・レントゲン写真を他の目的で転載・使用することはご遠慮ください。