お知らせ・症例紹介News and Blog
精密根管治療
-
-
-
【大牟田/精密根管治療症例】
見つからなかったMB2が原因だった上の奥歯 はじめに 「神経の治療をしたはずなのに、また痛くなった」 このようなご相談は少なくありません。 今回は、上顎第一大臼歯に存在する“MB2”が関係していた症例をご紹介します。 ■ 主訴 「歯の奥が疼く。強い痛みではないが、これから痛みが出そうな感じがする。」 ■ 初診時の状態 既に根管治療済み レントゲンで根尖部に透過像 痛み/違和感の持続 根の先に影がある初診時の状態 CT像:矢印の部位に未処置の根管 CTを撮影すると、未処置と思われる根管の存在が疑われました。 MB2とは? 上の奥歯には、神経の通り道が4本あることが多いと報告されています。 そのうち、 MB2(近心頬側第2根管) は、非常に見つけにくい位置にあります。 肉眼では確認が難しく、過去の治療で処置されていないこともあります。 なぜそれが問題になるのか 根管治療の目的は、 「歯の内部の細菌を除去すること」 未処置の根管がある場合、そこが感染源として残る可能性があります。 再発症例の中には、MB2未処置が原因であるケースが一定数存在します。 (※Cleghorn BMらの研究ではMB2は50%以上存在することが示唆されている) 今回の治療 当院では全ての根管治療をマイクロスコープ下で行っています。 今回の症例では、 マイクロスコープ下で慎重に探索 石灰化した象牙質を超音波チップで除去 MB2を確認 徹底的な洗浄・清掃 を行いました。 感染源と考えられたMB2の清掃を含め、治療は1回で終了しました。 MB1の発見 MB2の探索 MB2の清掃 術後経過 経過観察時、患者様からは 「歯が疼く感じがなくなりました」 とのお言葉をいただきました。 大きな痛みではなくても、日常的に感じる“違和感”は精神的な負担になります。 その原因が取り除けた可能性があります。 術後レントゲン写真 なぜ1回で終了できたのか 根管治療が複数回に分かれる理由は様々です。 今回1回で終了できた理由は、 診断が明確だったこと 感染源が限定されていたこと マイクロスコープ下で確実に処置できたこと 適切な治療時間を確保したこと が挙げられます。 すべての症例が1回で終わるわけではありません。しかし、 「原因を正確に見つけられるかどうか」 は、治療回数にも影響します。 精密根管治療を検討されている方へ 根管治療は、 目に見えない歯の内部の治療です。 再発の原因の一つに、未処置根管の存在(MB2など)があります。 当院では、 ✔ マイクロスコープ下での治療✔ CTによる三次元診断✔ 治療動画による可視化説明✔ 1日4〜5名までの治療制限 を行っています。 「歯を残したい」と本気で考えている方に、必要な治療をご提案しています。 ■ 費用について 本症例で行った精密根管治療は、自費診療となります。 上顎大臼歯の精密根管治療 132,000円(税込) ファイバーコア 33,000円 (税込) ※症例により費用は異なります。※被せ物の費用は別途必要です。 ■ 治療に伴う注意事項(リスク・副作用) 根管治療には以下の可能性があります。 術後に一時的な痛みや違和感が出ることがあります 歯質の残存量が少ない場合は、将来的に破折する可能性があります 症例によっては外科的歯内療法や抜歯が必要になることがあります 本症例は一例であり、すべての症例で同様の経過を示すものではありません。
2026.02.21 精密根管治療症例紹介
-
-
-
-
【症例紹介】抜歯前提の歯でも残せる可能性ー精密根管治療 × 限局矯正を用いた“歯を守る治療”
「根管治療後の歯で最も大切なのは、残っている歯の量である。」 — Dr. Martin Trope(世界的歯内療法専門医) 世界的なエンド医である Trope 先生の研究では、フェルールが不足した歯は、噛む力が根に集中し、縦に割れて抜歯になるリスクが非常に高いことが示されています。 逆に、歯ぐきの上に 1〜2mm でも健全な歯質(フェルール)が確保されていると、破折リスクは大きく減少し、歯は長く安定します。 つまり、「フェルールを確保できるかどうか」が、根管治療後の歯の“運命”を決める要素なのです。 当院では、・矯正的挺出(歯を少し持ち上げてフェルールを作る治療)・外科的歯冠長延長などを組み合わせ、可能な限り “抜歯ではなく、歯を残す治療” を検討しています。 今回は、「抜歯前提」であるフェルール不足の歯を、精密根管治療 × 限局矯正(矯正的挺出) を組み合わせて保存した症例をご紹介します。 当院の詳しい治療案内はこちら 👉川口歯科医院|診療案内 1.主訴(患者さんの訴え) ・「歯が痛む/噛めない」 ・「歯肉が腫れている」 ・「できるだけ自分の歯を残したい」 2.初診時の所見 ・歯冠部が治療の繰り返しとう蝕によって大きく崩壊(👉治療の繰り返しによるサイクル) ・フェルール(歯ぐきの上の健全歯質)がほぼゼロ ・根尖部に病変/感染の可能性 ・このままクラウンを被せても 歯が薄く、破折リスクが極めて高い状態 【専門ポイント】フェルール不足だと何が起こる?(Trope の研究から) フェルール 0mm の歯は噛む力が根に集中し、縦破折(保存不能)が急増する。 フェルールが 1〜2mm あるだけで、破折リスクが大幅に減少し、予後が安定する。 Trope らの研究では、ポストの種類より「残存歯質量(フェルール)」が歯の寿命を左右すると示されている。 =「歯を残すには、まずフェルールを確保することが必須」 — Dr. Martin Trope(世界的歯内療法専門医)の破折研究をもとに要約 3.治療計画 フェルール不足のまま被せ物をすると破折しやすいため、以下の2段階で「歯を残す治療」を計画。 ① 精密根管治療(感染を取り除き、土台を整える) マイクロスコープで感染源を徹底的に除去 根管形態の把握と破折線の確認 根の中を確実に封鎖し、保存可能な状態へ ② 限局矯正(矯正的挺出)でフェルールを獲得 歯を約2mmゆっくり引き上げる 歯ぐきの外に健全歯質(フェルール)を出す 歯肉の形態を整えて最終補綴の準備を行う 4.治療経過 ①根管治療に先立ち、CR(コンポジットレジン)にて隔壁を製作した。 【治療のポイント】CRで隔壁を製作した理由 根管治療に入る前に、まず CR(コンポジットレジン)で隔壁 を作りました。 これは見た目を整えるためではなく、根管を細菌から守り、安全に治療を行うための大切なステップです。 ラバーダム防湿を確実に行うため 歯の周囲をしっかり囲うことで、ラバーダムが安定し、 唾液や細菌が根管内に入り込むのを防ぎます。 仮の蓋の期間に細菌が侵入しないようにするため 歯の壁が少ないままでは仮蓋だけでは不十分です。隔壁を作ることで、 治療の合間も根管内をできるだけ無菌的な状態に保つことができます。 根管治療を正確に行うための「治療の土台」にするため 隔壁によってアクセスが安定し、根管の探索・洗浄・封鎖を より精密に行えるようになります。 簡単に言うと、隔壁は「根管を細菌から守るための防御壁」です。 安全なラバーダム防湿と無菌的処置のために、まずこの工程を行っています。 ②ラバーダム防湿を行い、根管治療→根管充填まで行った。 ③MTM(矯正的挺出)装置を装着し、約5週間経過した。 治療により、 ・根管治療で痛み・腫れが消失 ・矯正的挺出により新しいフェルール(2mm)を確保 ・歯肉が安定し、補綴が可能な状態に 5.精密形成、仮歯装着 矯正装置を除去し、ファイバーコアによる補強と仮歯を製作した。 6.治療結果 ・抜歯回避に成功 ・痛み・噛みにくさの改善 ・フェルールを確保したことで「長期的に歯を残す条件」が整いました 患者さんは「抜歯せずに済んでよかった」、「少ない通院回数で噛めるようになった」と安心された様子でした。 これからもこの歯を長く持たせれるように、慎重に経過を追っていきます。 7.まとめ 治療を何度も繰り返した歯や大きなう蝕があった歯は、歯の大部分を失ってしまいます。 フェルールが不足した歯は、そのまま被せ物をすると高い確率で割れてしまう ため、抜歯になるケースが多いです。 しかし、 精密根管治療 限局矯正(矯正的挺出) を組み合わせることで、抜歯前提の歯でも“残せる可能性”が広がります。 歯を守る治療は、「見えない基礎治療」がとても重要になります。 繰り返しの治療で弱ってしまった歯でも、もう一度チャンスをつくれる場合があります。 「できれば抜きたくない」というお気持ちに寄り添いながら、その歯が持てる限り長く使えるよう、今後も丁寧にサポートしていきます。 【注意事項】 本記事は、実際に当院で行った治療の一例です。歯の状態や症状、治療の難易度には個人差があり、同じ治療を行っても全ての方に同じ結果が得られるわけではありません。 最適な治療方法は、精密な診査・診断を行ったうえで個別に判断する必要があります。治療をご検討の方は、一度ご相談ください。 【治療期間・治療回数・費用】 治療期間:5週間 治療回数: 3回 治療費(自由診療): 隔壁形成: 11,000円(税込) 精密根管治療(小臼歯):110,000円(税込) 限局矯正(矯正的挺出):55,000円(税込) ファイバーコア: 33,000円(税込) 精密形成・仮歯: 8,800円(税込) 【関連ページへのリンク】 ▶ 精密根管治療について詳しくはこちら ▶ マイクロスコープ治療とは?詳しくはこちら
2025.12.07 MTM(限局矯正)精密根管治療症例紹介
-
-
-
-
【症例紹介】3年間治らなかった強い腫れと痛み─精密根管治療で歯を残せたケース
■ 主訴(患者さんのお悩み) 「歯の根が腫れていて、とても痛い」 「他の歯科医院で2〜3年間治療しているが、治療が終わらない」 当院に救急対応で来院された患者さんです。 初診時、上あごの裏側(口蓋)が大きく腫れあがり、膿がたまっている状態でした。レントゲン(デンタルX線)では 根の先に2cm以上の大きな骨吸収 が確認されました。 腫れと痛みを緩和するため切開排膿を行うと、内部から大量の膿が排出されました。 ■当院がご提案した治療 根管治療が途中で中断されていたため、まずは以下のステップで治療計画を立てました。 ①再根管治療(非外科的歯内療法) マイクロスコープで感染源を除去し、根の内部を消毒していきます。 ②歯根端切除術(外科的歯内療法) ※①で症状改善が認められなかった場合、根の先の形態が正常でない場合 当院の精密根管治療について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。👉 精密根管治療(マイクロエンド)について 根の先が壊れている場合、成功率はどう変わる? 通常の根管再治療は約80〜90%が良好に経過すると言われています。 しかし、根先孔が大きく削られてしまったり、根尖の形態が破壊されている場合は、 成功率が約40〜50%程度まで下がるという報告があります。 ◆専門家向けの根拠(読み飛ばしてOKです) ・Gorni & Gagliani, J Endod 2004: 正常形態 86.8% vs 破壊形態 47%(再治療) ・Hirata-Tsuchiya, Eur Endod J 2024: ISO≥55拡大で成功率低下 ■治療当日の流れ 治療はすべて ラバーダム防湿(お口の細菌が歯の中に入らないようにするゴムのシート)を行った上でスタートしました。 その日のうちに根管(神経のあった場所)の消毒ができたため、当日中に根管充填(薬を詰める処置) まで完了しました。 根の先の形態は、これまでに何度も治療が繰り返されていた影響で 大きく開いている状態(拡大・変形) でした。そのため、治癒が得られにくい可能性や、必要に応じて 外科的歯内療法(歯根端切除術)へ移行する可能性がある ことを、事前に患者さんへ丁寧にご説明しました。 その後、症状が落ち着いたため仮歯で生活していただき、機能面の確認を行いました。 ■術前→ 1年6か月後の変化 初診時(左) 1年6か月後(右) 2年後の再評価では、 痛みなし 腫れなし 日常生活でも快適に機能 レントゲン上で骨の改善確認 と、とても良好な状態でした。 患者さんも 「歯を残せて本当に良かった」 と喜ばれ、私自身も 外科治療を回避できたことにホッとしました。 ※ただし、完全な骨再生には約3年かかると言われているため、引き続き定期的な経過観察が必要です。 【治療に伴うリスク・注意点】 ✅痛みや腫れが一時的に強く出る場合があります ✅根の形態や破壊の程度により、外科治療(歯根端切除術)が必要になる場合があります ✅再根管治療でも改善が得られない場合、抜歯となる可能性があります ✅骨の再生には時間がかかり、治癒のスピードには個人差があります 【治療回数について】 本症例では、 再根管治療:1回 ファイバーコア、仮歯:1回 経過観察(3〜6か月ごと):数回 という回数で治療を行いました。 症状や根管形態によっては、治療回数が追加になる場合があります。 【費用(自由診療)】 当院の精密根管治療は、すべてマイクロスコープを用いた自由診療です。 前歯の精密根管治療:99,000円(税込) ファイバーコア:33,000円(税込) 精密形成・仮歯:8,800円(税込) ■ 歯の根のトラブルでお悩みの方へ痛みや腫れ、再発を繰り返している方、 治療が長期化している方は、一度ご相談ください。当院では顕微鏡を使った精密な根の治療により、 できる限り歯を残す選択肢をご提供しています。 当院で行っている精密根管治療の特徴や流れについては、こちらのページで詳しくご紹介しています。👉 精密根管治療|川口歯科医院
2025.12.07 精密根管治療症例紹介
-