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ISPRD参加から1年 〜世界の潮流に触れて感じたこと〜

2025年6月、私はアメリカ・マサチューセッツ州ボストンで開催された、歯周病・インプラント・補綴の国際学会である International Symposium on Periodontics and Restorative Dentistry (ISPRD) に参加しました。

 

ISPRD2025参加の写真

ISPRDは3年に1度開催される世界最高峰の学会の一つであり、世界中の臨床家や研究者が集まり、現在の到達点と未来の歯科医療について議論する場です。

早いもので、あれから1年が経過しました。

この1年を振り返る中で、あの時ボストンで感じたことや学んだことは、今も私の診療の中に生き続けていると感じています。

世界の潮流を肌で感じた数日間

学会期間中は、朝から夕方まで多くの講演を聴きました。

歯周組織再生療法、インプラント治療、骨造成、軟組織移植、補綴治療。

どの分野においても世界の第一線で活躍する先生方が、自らの経験や研究成果を発表されていました。

もちろん最新の技術や材料を学ぶことも大きな目的でしたが、それ以上に印象に残ったのは、

「世界はどこを目指しているのか」

という方向性を感じることができたことでした。

日本でも素晴らしい治療は数多く行われています。

しかし海外の演者の講演を聴いていると、治療技術だけではなく、治療哲学そのものに学ぶべきことが多くありました。

患者さんにとって本当に価値のある治療とは何か。

10年後、20年後を見据えた治療とは何か。

その問いに真剣に向き合う姿勢が強く伝わってきました。

インプラント学会で感じた天然歯の価値

ISPRDでは多くのインプラント治療が紹介されました。

私は参加前、「世界最先端のインプラント治療とはどのようなものだろう」と考えていました。

しかし実際に講演を聴いていて感じたのは、単にインプラントを埋入する技術の話ではありませんでした。

むしろ演者の先生方から強く伝わってきたのは、

「いかに天然歯に近い状態を再建するか」

という考え方でした。

骨を再建し、歯肉を整え、失われた組織を回復させる。

その目的は、インプラントを入れることそのものではなく、天然歯が本来持っていた機能や審美性に少しでも近づけることにあります。

講演を聴きながら、私はあることを強く感じました。

それは、

天然歯はやはり特別な存在である

ということです。

もしインプラントが天然歯を完全に超える治療法であれば、そこまで天然歯に近づけようと努力する必要はないはずです。

しかし世界のトップランナーたちは、骨の形態や歯肉の厚み、歯間乳頭のわずかな形まで徹底的にこだわっています。

それは天然歯が持つ機能性や審美性が、それほど優れているからなのだと思います。

私は講演を聴きながら、

「神様が与えてくれた天然歯は、本当に素晴らしいものなのだな」

と何度も感じました。

もちろんインプラント治療は失われた歯を回復するための非常に優れた治療法です。

しかし、それは天然歯を超えるための治療ではなく、失われた機能を回復するための治療です。

だからこそ、残せる歯はできる限り残したい。

その思いを改めて強くした学会でもありました。

 

 

あの日の決断は今も生きている

ISPRDへの参加は決して気軽なものではありませんでした。

診療を休み、時間と費用をかけて海を渡り、英語で行われる講演を聞く。

決して楽な挑戦ではありませんでしたが、参加して本当に良かったと思っています。

なぜなら、あの日ボストンで受けた刺激は、今も私の診療の中で生き続けているからです。

世界には本当に素晴らしい臨床家が数多く存在します。

その講演を聞くたびに、自分はまだまだ学ぶことばかりだと感じました。

そして、その気持ちは1年経った今も変わりません。

現在も月に一度ほど、東京や山梨で開催される研修会や学会に参加し、学びを続けています。

 

地方で診療をしていると、目の前の仕事だけで毎日が過ぎていきます。

しかし定期的に外へ出て学ぶことで、自分の現在地を知り、新しい考え方や価値観に触れることができます。

その積み重ねが、少しずつでも診療の質の向上につながっていると信じています。

世界の最先端は、この1年の間にもさらに進化していることでしょう。

だからこそ、私も歩みを止めることなく学び続けたいと思っています。

 

 

 

支えてくれる人への感謝とこれから

この1年を振り返る中で、改めて感じることがあります。

それは、自分一人の力で学び続けているわけではないということです。

ISPRDへ参加した当時、子どもたちはまだ小さく、数日間家を空けることに申し訳なさもありました。

それでも家族は笑顔で送り出してくれました。

その支えがあったからこそ、私はボストンで世界の歯科医療に触れることができました。

そして今もなお、東京や山梨への研修や学会に参加し続けることができています。

留守中に医院を支えてくれるスタッフ。

信頼して通院してくださる患者さん。

そして、いつも応援してくれる家族。

多くの方々に支えられて、今の自分があります。

学び続けられることは決して当たり前ではありません。

だからこそ、その学びを自分の中だけで終わらせるのではなく、日々の診療を通じて患者さんへ還元していきたいと思っています。

あの日ボストンで見た景色は、今でも私の中に残っています。

世界にはまだまだ知らないことがたくさんあります。

そして、まだ見たことのない景色があります。

私はまだまだ道半ばです。

これからも謙虚な気持ちを忘れず、一歩ずつ学び続けながら、より良い歯科医療を提供できるよう研鑽を続けていきたいと思います。

そして、支えてくださるすべての方々への感謝を忘れず、これからも学び続けていきたいと思います。